競馬場
全員の思いが一つになる場所、それが競馬場だ。
競馬場では私達が本能に忠実に生きているんだということを思い出させる。
勝ちたいという欲望、願望、夢、負けたときの落胆、悲壮。
先立つものを用意して勝負に臨む。リターンが大きければ大きいほど、失うものが多ければ多いほど興奮し、のめり込んでしまう。
実際の競馬だと痛い目にも合うが、本で読む分には痛い目に合うことなく、感動と興奮だけが得られる。
キャラクター性
本書の主人公は秘書だ。大変珍しい職業であり、イメージしづらいが、社長の専属競馬マネージャーといえばわかりやすいかもしれない。
さらに本書は2部構成になっており、1部は1月、2月、3月と月単位で章立てされているのだが、2部は春、夏、秋、冬と季節ごとに章立てされている。
これは1部の中心人物がが60歳を超えた爺ちゃんであるのに対し、2部の中心人物が若者であるからではないかと感じた。
爺ちゃんの方が細分化して物事を見ているが、一方で成長の遅さも表現しているように感じる。
若者は短い時間で色々な事を吸収し、成長していくことから、爺ちゃんの3分の1月ぶんの構成だったのではないだろうか。
爺ちゃんが繰り返した年数の重みを若者がひしひしと感じる展開と見ても面白い。
主人公の思い
社長とその息子の両方を支えた主人公。二人の行動力を羨む一方で自分はなかな決断できない。
そんなもどかしさも含めて、私達読者は主人公の立場で読み進めることができたい。
一般庶民に近いからこそ親しみが湧いて、馬を応援するよりも主人公を応援したくなるような心持ちがした。
ありがとうございました。

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