作中に登場する魅力的な歌たち
「ふるみの ふるがさ ふるごとく あっちゃぶんくら こっちゃぶんくら」
心地の良い歌だ。しっぺいたろうという絵本では 「ふるいけ ふるやま ふるかいどう 」という語感が良かった。
本書も気持ちの良い歌が登場する。
「でんでんごろも おどりだしゃ ちんからかんも おどりだす たんぽくぽくもおどろうや」
でんでんごろ”も” ちんからかん”も” たんぽくぽく”も” 韻を踏んでいて心地よい。
どの音も繰り返し用いられていてリズミカルだ。
「ちゃんざるこ みずやの すみこの みそざるこ ざんざこ ざんざこ」
”こ”の音が心地良い。
あらすじ
ばけものでらという怖そうな場所に、一人の坊主が意気揚々と乗り込んでいく。
周囲の村人は、気味悪がって近づかず、坊主が乗り込むのを止めようとする。
しかし、坊主は気にもせず「ばけものにあってみたかった」と言ってばけものでらに入る。
寺に入った坊主は、汚れた寺の中をせっせと掃除し始め、そのままごろんと寝てしまう。
なんて祭儀の良い坊主だ。現代の坊さんも、一日中寺の掃除をして過ごすという。
熱心に掃除をすると気持ちの良い疲れが襲ってきて、ぐっすり眠れるという。
本書の坊さんもまさにそういった心境だっただろう。
その坊主のところに、化け物たちが集まってくる。坊主の周りでガチャガチャと踊り始める。
これを聞いた坊主も一緒に踊りだす。ものの気持ちに寄り添って踊りだす。
最後には坊主がものを供養して、寺を後にする。
ちょっと考察
化け物の正体は使われなくなった家具や雑貨たちだった。
使われなくなったものの寂しさを絶妙な歌で表現し、その者たちを綺麗にして供養するという良い話だった。
私達も身の回りに埃をかぶらせている雑貨があれば、綺麗にして世の中に返したほうが良いかもしれない。
大変良い本でした。ありがとうございました。

コメント